600年の歴史を持ち、うちなーの宝と誇れる沖縄の「三線」。
その三線は、いまや沖縄県内にとどまらず、県外や海外にも多くのファンを有し、沖縄文化の代表として子供からお年寄りまで幅広い層で愛され、奏でられています。
ところが今、その三線の75%が海外産であり、県内の三線職人の手によって作られた三線は、なんと全体の25%にも満たないことが分かっています。
これらの状況は、新たな若手職人の育成を困難にさせるなど、これからの三線の未来を考えるうえで、いくつもの課題を浮き彫りにしています。
そのため、今の三線の現状をいろんな角度から調査をし、学識者や演奏家など他団体からご意見を頂きながら連携を深め、より一層確かな技術に基づいた「三線」を普及・発展させていくための礎をつくろうと、今年度より「県産三線普及ブランド化事業」を立ち上げ、3年にわたり取り組むことになりました。
三線は2012年に当組合の元、県の伝統的工芸品として指定を受けましたが、今年度の事業では、さらに国の伝統的工芸品に指定しようとする、より大きな三線のブランド化が目的の一つにあります。
伝統的技法を受け継ぐ三線職人の手で、しっかりと本物といえる三線製作の技術を後世に残し続けていきたい!! この意志に賛同していただいた多方面の方々が、このたび委員に加わってくださりブランド化委員会が発足することとなりました。
国の指定はあくまでも重要な過程、契機ととらえており、これらを踏まえながら更に新しい時代のニーズに寛容に、果敢に、挑戦し、これからの大きな三線のブランディングに繋げていきたいと考えております。
三線のブランド化が三線職人だけでなく、多くの愛好家や演奏団体・三線製作店や文化団体、三線に関わる全ての方々と共に一丸となり、ブランド化の大きなムーブメントになるよう取り組んでいきたいと思っております。
沖縄県三線製作事業協同組合
県産三線普及ブランド化事業
委員会メンバー
大城 學
おおしろ まなぶ
昭和57年法政大学大学院修士課程修了、文学博士
平成12年度ゴールデンディスク賞功労賞、第32回伊波普猷賞等を受賞
主な著書:『沖縄新民謡の系譜』『沖縄芸能史概論』『沖縄の祭祀と民俗芸能の研究』
昭和63年11月、沖縄県立博物館特別展「三線名器一〇〇挺展」を担当。
論文に「三線の歴史と文化」『沖縄県立図書館紀要』
鈴木 修司
すずき しゅうじ
ゆいまーる沖縄株式会社 代表取締役社長
沖縄工芸品の業界振興・価値向上のため、流通ビジネスの枠を越えて、沖縄の文化価値を創造し、物心両面の幸福を提供する感動創出企業への進化を見すえて、多種多様なプロジェクトに取り組んでいる。
園原 謙
そのはら けん
元沖縄県立博物館・美術館 副参事兼博物館班長
1991年から8年間にわたり、アメリカやヨーロッパにおいて、沖縄から流出した文化財についての調査を行う。沖縄の歴史についての講演、メディア出演多数。
大工 哲弘
だいく てつひろ
琉球民謡音楽協会・名誉会長兼任
八重山民謡教室を全国に17支部を持ち、沖縄・八重山民謡の普及・育成にも力をそそぐ。
指導の傍ら、県内外及び海外コンサートにも多く出演、中・東・北欧、米国、中南米などで活動を続けている。
谷口 真吾
たにぐち しんご
琉球大学農学部亜熱帯農林環境科学科教授、博士(農学)、技術士(森林部門)、樹木医
現在、森林環境科学分野造林学研究室に属し、造林学、森林生態学、繁殖生理生態学、森林施業論の研究教育を行っている。平成24年、日本森林学会誌論文賞を受賞。
主な著書は、日本樹木誌1(日本林業調査会 2009)等
知名 定男
ちな さだお
12歳の時に『スーキカンナー』で華々しくレコードデビュー。
2000年サミット沖縄芸能派遣団欧州公演(ロシア、フランス、イタリア)の総合プロデュースを担当し各国で大きな評価を得る。沖縄サミットでは安室奈美恵の唄った『Never End』へも三絃で参加。
照喜名 朝一
てるきな ちょういち
幼少の頃から三線に親しみ、2000年、沖縄の芸能部門で初めて重要無形文化財「琉球古典音楽」の保持者に各個認定された(いわゆる人間国宝)。
国内外で指導・演奏を行い、後継者育成にも力を入れ、創作活動にも意欲的に取り組んでいる。
比嘉 康春
ひが やすはる
元沖縄県立芸術大学長
国指定組踊技能保持者(総合認定)、沖縄県指定伝統舞踊地謡技能保持者
琉球舞踊、組踊の地謡として県内外琉球芸能公演、NHK番組「沖縄の歌と踊り」など多数出演する。
平田 大一
ひらた だいいち
「沖縄文化芸術振興アドバイザー」として世界と沖縄をつなぐ活動を展開中。「くるちの杜100年プロジェクト」など、文化に軸足をおいた新たな地域活性化のモデルづくりのトップランナーとしても更なる挑戦を続ける。
宮沢 和史
みやざわ かずふみ
1989年 バンド『THE BOOM』のボーカリストとしてデビュー
その他 作詞・作曲家、役者、ナレーター、執筆家、コンサート・カフェ プロデューサーとしても活動。2016年より沖縄県立芸術大学の非常勤講師を担当。